世の中には自分の腕よりも長いパンが売ってるんだな。
ども、コバチヨです。
■フレンチディスパッチ ザ・リバティ・カンザス・イブニング・サン別冊
地元の映画館では到底上映してもらえない映画だろうし、東京まで行かないとみられないのかなと諦めていたものの、地元の駅から2駅先にある映画館で上映されているのを知ったので上映開始2週目の週末に観に行ってきた。
コロナ禍で2年位の延期を経て上映されたウェス・アンダーソンの新作だったわけなんだけど、今までの作品の延長線上にある、へんてこな世界で繰り広げられるへんてこな話で個人的にとても良かった。
今回の映画は、雑誌「フレンチディスパッチ ザ・リバティ・カンザス・イブニング・サン・別冊」の最終号に掲載された4つエピソードと、この雑誌の編集長であるアーサー・ハウウィッツァー・Jrへの追悼文が記される際の編集部の様子を描いたものだ。
雑誌を読む行為を映像でどう再現するのか試みていて、たとえばカラーページとモノクロのページとが忙しく切り替わる感じだったり、やたらと説明が多い感じだとか、雑誌を普段から読む人ならば、気が付いてくれる気がする。あと、雑誌の記事を読むときは何かを食べながらだとか。(記事を一切書かない記者の食べていたものがスナックばかりだったのも納得!)
また、雑誌のグラビア写真を眺めているかのような画面作りがなされた大掛かりなシーンも印象的で、そのようなシーンはスマートフォンやタブレットで再生しても楽しんでもらえる仕掛けとして撮影されたのかなと思う。中でも、”アンニュイ”という街の昔と今の風景の対比の写真のシーンや囚人の画家のエピソードの最後に刑務所の職員と脱走を試みる大勢の囚人が争うシーン、学生運動をしている学生たちと警察たちが争うシーンなど、エドワード・ゴーリーが描いた「ウォーリーを探せ」みたいな画になっており、動画配信が始まったら改めてそれらの大掛かりなシーンを静止画でじっくり眺めたいと思わせる位。”アンニュイ”の街の建物のすべてが素敵だし、目に訴えかける情報量もとても多く、ウェス監督には悪いけれど動画配信が今から待ち遠しい。
それと、どこかでネスカフィエの作った料理が食べられるレストランがあるといいな。
ネスカフィエの料理を作る時の儀式も見せてくれると尚良し。
映画の内容は、人の関心を強く引き付けるようなものじゃなかったのだけど、物語以外の要素がいちいち素敵でにぎやかな映画だったな。一朝一夕で消費されようがない唯一無二のコンテンツに出くわすことがなかなか無いので嬉しかった。
感想終わり。