新聞のポテンシャルは掃除でいかんなく発揮される。
ども、コバチヨです。
■最近笑ったもの
先日(12月19日)、行われた「M-1グランプリ2021」の自分なりのつたない感想を書いてみる。
毎回毎回面白いなと思いながら見ているんだけど、今年は特に上沼恵美子さんが審査の際、頻りに厳しい表情をしていたのが印象に残っていて審査員を辞めさせた方がいいのではないか?
上沼さんは確かに漫才師のレジェンドなのかもしれないが、1977年の海原千里万里解散後のテレビ番組での活躍ぶりで箔が付いた印象が強いし、上沼さんが審査員である理由というのは「M-1グランプリ」を制作している朝日放送に長きにわたって貢献してきたからの方が実は大きいのではないか?
番組を締める役割としてご意見番の上沼さんがいないといけないというのもわかるのだけど、年々進化していく漫才の形式についていけませんと最終決戦の審査の後、インディアンスの講評をした際に実質降参宣言してたようなものだったし、もういいんじゃないかなと自分は思ってしまったのだ。
決勝戦に出場したコンビの中で個人的に良かったのはモグライダーだった。
今年の「キングオブコント」のトップバッターだった蛙亭のようなインパクトはないものの、冒頭の掴みの上手さから始まるともしげさんの不器用ながらも目的達成のために頑張る姿が滑稽だけど応援したくなったし、ともしげさんの空回る頑張りぶりに適切にシンプルな言葉でアドバイスを返していく芝さんのツッコミのテンポが良かったし、ともしげさんの目的が達成し、最後の二人で肩を組んで歌を歌うシーンはトム・ブラウンのナカジMAXが完成した時の驚喜を上回るものがあって爽快な笑いだった。場の雰囲気次第では冷え冷えになるネタだったと思うけど、あの掴みがいかに良かったかということなんだろうな。
その次のランジャタイの漫才「風猫」は、ギャグマンガの荒唐無稽さを実際の動きに落とし込むという無茶苦茶な試みをしているんだろうか?3回戦のi-phoneのネタといい、漫画的な動きだけであんなに笑わせるのは相当な鍛錬があったのだろう。国崎さんの身体表現や言葉選びはハリウッドザコシショウさんの人の無意識に訴えかけて笑いを取るのに通じるもので、漫才なのに観衆の無意識に訴えかけて笑いを取ろうとするあたり狂気じみているわけで審査員も頭を抱えるしかないだろう。「R-1ぐらんぷり」であれば何でもありなので許容範囲なのかもしれないが、M-1は言葉選びのセンスだとか言葉と言葉の応酬の間合いの巧拙で評価される大会だというイメージが強いから国崎さんの強烈な身体表現でよくぞ決勝戦まで残ったもんだとびっくりさせられた。
モグライダーにしろランジャタイにしろ、惜しむらくは順番が序盤ではなく後半だったら更に荒れまくって面白い展開になったかもしれないということ。
ゆにばーすは、ディベートを題材にしたしゃべくり漫才で、はらちゃんの漫才の腕が上がったこともあって、川瀬名人の突っ込んがなんとなく弱く感じられたのが残念。漫才の題材がずっと”男女のあり方”にこだわっているけれど、いつまでやるんだ?そろそろ違う題材で勝負してもよさそう。
敗者復活のハライチのネタは、今までの澤部さんがボケまくるネタではなく、澤部さんも岩井さんもボケるという無茶苦茶でハライチとしてはとても斬新なネタをしたわけだけど、M-1ラストイヤーの締めくくりのネタをを彼らががやりたかったネタで押し通すのはカッコよかった。あの舞台において澤部さんがボケまくるハライチらしいネタを用意しないといけないという観衆の無言の重圧は物凄かったと思うから。
真空ジェシカの一日市長のネタは、軽快に小ネタをポンポン小気味よく入れていくスタイルの漫才だった。最初の職員紹介をぶつ切りにし、それからパンチのある小ネタが立て続けにあったので全体的に何の漫才なのかぼんやりしてしまった印象があったかな。小ネタのセンスはあるんだけど、流れを見失いそうになる。小ネタのセンスが良かっただけに尚更気になった。
ロングコートダディーのワニになりたい男のネタは、コントでもよさそうなネタだったのでそのあたりが点につながらなかった要因だったか?肉うどんが天寿を全うする瞬間が面白く、おまけに肉うどんがたべたくなるネタだった。オチも秀逸。それにしても生き物になれないあたり不条理だったなー。
ラストのももの漫才は、二人の見た目を延々いじり合う漫才だった。古き時代の萬歳のリズム感と昭和のしゃべくり漫才がミックスされた漫才だなと思って一回りして斬新な漫才だった気がした。二人のルックスをいじるワードセンスが素晴らしいなと思ったけれど、多様性の時代に見た目をいじるネタは微妙な雰囲気になってしまう危険性があったけど、それを上回る漫才を聞かせるグルーブ感よ!すぐ売れてしまうね。
上位3組に関しては巷で散々言及されているから軽く書く。
インディアンスは、きむさんの突っ込みが以前よりも前に出てくるようになってかつての田渕さん劇場からまっとうな漫才になっていた。1本目の心霊スポットのネタが良かったな。
オズワルドの1本目は完成されている漫才で、あの漫才を超えるネタを来年用意しないといけないだろうから、オズワルドにとって去年に引き続き苦しい1年になるかもしれないけれど楽しみだ。
優勝した錦鯉については、2本とも50歳になっても堂々とバカを晒すというまさのりさんありきのネタだった。自分も相当のバカだから書くのだけど、堂々とバカを晒す事をバカは基本的にしないし、バカだとすぐばれてしまおうが当のバカ本人はなりふり構わず頑張って頑張って取り繕おうとしてしまうから、堂々とバカを晒すまさのりさんは素晴らしいバカだと思ったわけだ。去年から人気者だけど、優勝以降のまさのりさんは沢山の人から長く愛されるバカになってしまうんだろうな。沢山の人に愛されてほしい!(切実)
審査員の講評で渡辺さんのネタの構成力、突っ込みの技術の巧さがクローズアップされていたから2022年はいよいよ渡辺さんが売れてしまうのではないか?
とにかく全部笑ったし楽しかったな。