あけましておめでとうございます。
ども、コバチヨです。
■美空ひばり「あれから」のこと
平成の初めにこの世を去った美空ひばりさんが、令和になって最新シングルをリリースしたというニュースがあった。
美空ひばりさんのシングルが出るまでの経緯を全く知らないので、ネットで調べてみたら、NHKスペシャルの特別番組で企画が立ち上げられ、晩年の美空ひばりの決定打ともいえる「川の流れのように」の作詞を手掛けた秋元康さん、東京ドームで行われた不死鳥コンサートの衣装を手掛けた森英恵さんといった美空さんゆかりの人たちがが作り上げた令和元年の美空ひばりのイメージと生前の映像記録や音声記録などを重ね合わせ最新技術を駆使して出来上がった力作だったようだ。
美空ひばりさんは、昭和の時代をひばりさんと共にに歩んだ人達にとっては、大スターながらも、かけがえのない盟友のような存在であるし、昭和を体現する伝説のような人であることは揺るぎない事なのだけど、この世を去って30年経過するというのに、令和の時代に再び、最新の映像技術を駆使して実現させた今回の復活劇は、正直野暮なことなのではないかと「あれから」を聴いた自分としては思ってしまったし、「あれから」の歌詞も、AI美空ひばりさんが歌うと、ひばりさんがこの世に帰ってきたという感じが気持ち悪くて自分は受け入れられなかったな。曲自体は純粋にいい曲だから、他の人が歌っても、秋元さんの書いた歌詞にひきこまれるだろうけど、自分にはどうにもならなかった。
そんなわけで個人的に、ひばりさんが、この世でもあの世のものでもない、どっちつかずの存在として、2分あるかないかの短い時間のデジタル出演をしていた「オペレッタ狸御殿」(鈴木清順さんのもの)*1での起用のされ方のほうが良かったし、この世を去ってしまった人はゾンビにならない限り幻であってほしいんだよ。芸1つで生きてきた人なら尚更なんだ。
今回は、歌手をAIで再現するという試みだったから、あんまり炎上しないで済んだのかもしれないが、これが様々なジャンルの人で行われると思うと多岐にわたって運用できそうであるし、特にお笑い芸人で、「今は亡きあのお笑いレジェンドが、今夜復活!」みたいな企画は本当にやめてほしいんだ。お笑いビッグ3関連は、膨大なアーカイブ映像もあるだろうから、将来AIが進化したとしたら、簡単に新番組を作る事ができそうだからね。
芸は、その人限りだから尊いし、芸で生きている人たちが、沢山の年月をかけて作り上げてきた持ち味までも数値化され、簡単に再現されてしまうのは哀しいんだよな。それならキャストを総とっかえしてリメイクしてくれた方がいい。
昔であれば、消えゆく伝統芸能を残すために録音や撮影が行われていたのに、これから先、人気者の”分身のようなもの”を作るために録音や撮影が行われるなんてことが普通になるのは、あまり気持ちのいいものではない。自分の考え方がダサイだけだとしてもこれだけは受け入れられやしない。