大型連休は風邪で台無し
ども、コバチヨです。
■読んだ本
収納の問題から、読む本は文庫と決めていたんだけど自分で掟を破ってしまった。
まぁ、音楽に関する本で文庫化なんか、売れっ子ミュージシャンのエッセイ集だとか、売れっ子だったミュージシャンのノンフィクションというのが相場なので仕方がない。音楽の考察にまつわる本がそもそも売れた事があったのかも怪しいし、内容は音楽の考察なのかもしれないが、タレント本の括りとして扱われているのではないかと自分は勘繰ってしまう。
今回読んだのは「ラップは何を映しているのか」という本で、お題はざっくり決まっているものの、ラップにまつわるとりとめのないおしゃべりを1冊の本にまとめた本だ。
ラップがわからなくてもいいんだけど、テレビでのフリースタイルバトルだとか、アイドルグループの楽曲にラップパートが組み込まれていたり、人気ロックバンドも当たり前のようにラップしていたり、気づくと結構日常の中にラップが浸透してきている現状を考えると読んでおいてもいいかなという動機で読んでみた。
ラップというと、黒人コミュニティから生まれた歌唱法ということや、アメリカの人種差別問題を問うラップの曲にヒット曲が出た事もあって、政治的な音楽なんじゃないのか?と、重い音楽なのかなと思っていたのだけど、重さの原因が言及されていて、少しすっきりした。
また、日本語ラップが盛り上がってきているけれど、今後大々的に流行るのか?という点に対して厳しめだったのには笑ったし、日本のビートメイカーの教養がありすぎて、意識が高いせいか、自然な表現を出せないという件に大きくうなづいてしまったり、ヒップホップあるあるみたいな事もちらほら書いてあるのが楽しい。
あと、ラップは世界規模の音楽だから世界各国で自由に受容されたらいいという事も当たり前なんだけど、実際に言及されてすっきりした。世界中には宗教問題が深刻な国もあるだろうし、階級問題が深刻な国もあるだろうし、貧富の差が深刻な国もあるだろうし、伝統的な決まりと最新技術の狭間で戸惑っている国もあるだろうし、各国の当事者たちが抱える問題は様々なのに、アメリカでラップされるような事を無理に踏襲しなくてもいいんだって。
なんだか、サラっと流してしまったけれど、ラップを聴く事が好きという人におすすめします。1970年代~現在に至るまでのラップの事をざっくり知っている人なら素直に楽しい1冊だと思います。ラップあんまり知らないという人でも巻末の注釈が親切丁寧なのと、この本の良い所でもあるのだけど、章ごとにプレイリストがのっていて実際にyoutubeやsportifyなどでプレイリストの楽曲を聴きながら読むことができるようになっていてわかりやすい構成になっている。
昔は、ディスクガイドの文章だけでCDショップに買いに行って失敗するのも醍醐味の一つだったけど、youtubeだとかサウンドクラウドなどのストリーミングサイトが出来て、あんまり失敗はないもんな、いい時代になったもんだ。
ラップは何を映しているのか――「日本語ラップ」から「トランプ後の世界」まで
- 作者: 大和田俊之,磯部涼,吉田雅史
- 出版社/メーカー: 毎日新聞出版
- 発売日: 2017/03/27
- メディア: 単行本
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